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集団心理分析によるユニークな社会・歴史解剖
(2007-11-03)
唯物史観とは異なり、人間の心理に重点を置き、集団心理を個人の心理と同様に論じられるという見解(唯幻史観)の上、近代日本、国家、性などを分析した書。「共同幻想」を前面に押し出している点は吉本隆明氏と通じる所があるが、具体的対象を論じている点が面白い。フロイトの心理分析手法をほとんど無批判に自説に取り入れている点は気になるが。
「日本が無謀な太平洋戦争に突入したのは、ペリーの黒船来航による」、「アメリカが世界各地の紛争に介入するのは、アメリカ原住民を虐殺して建国した"うしろめたさ"があるから」と歯切れ良い。特に、外的自己と内的自己による分析は頭を整理するのに役立つ。吉田松陰と日本赤軍が内的自己で結び付くとは。「共同幻想の無謬性と絶対性を維持するため、現実への適応に失敗しやすくなる」という一節は、オウム真理教を予見したかのようである。私はフロイト流の心理分析は信用していないのだが、集団心理の説明には都合が良いのかなと思った。性に関する分析では、人類の性本能が壊れていると言う指摘から始まり、文化としての性幻想を論じているが新鮮味がない。進化論・時間・空間・言語に関する考察は発想が自在と言うより、むしろ檻の中での窮屈な議論で魅力に乏しい。「本能を失った人類」に拘り過ぎているのである。時代・国家などには巧く適用できた集団心理分析手法が、性・言語と言った属人的な例に対しては空回りしている感がある。もっとも、「私的幻想」から抜け出せない人間が今で言う"引きこもり"に相当するとしたら卓見である。「心理学者の解説はなぜつまらないか」、「心理学無用論」の二つの自嘲的な章は笑わせてくれるが、意外と著者の内なる悩みなのかもしれない。これらの章が題名の由来になっている。最後に個人的な事柄が語られるが、主に母との関係が著者を心理学に進ませた経緯が述べられる。
時代・国家という対象を集団心理分析の手法で鮮やかに論じた刺激的な書。
かなり以前の、、、
(2007-09-26)
アナライズだが、そのいくつかはいまだ現実にある性質のものだと思う。
わたしは神経質といわれるが本人はいたってのろまである。
そして片付けが下手だ。かたづけるというと、捨てるほうがきにいっている。
だからある部屋はごちゃごちゃ。ある部屋はきちんとしている。
そして脱皮するようにごちゃごちゃをみて自分はものぐさだとおもう。
他人はどう思っても自らは偽れない。
次回作がすでにでているので、それとともに時間の経過がわかる。
たいへんおもしろいので、是非一読推薦いたします。
80年代文化を形成した名著
(2007-09-18)
80年代文化を深層で形成したのはこの本である、と言い切ってしまおう。
同時代の日本の知識・文化人に与えた影響は計り知れない。
よって読んで損はない。
ただ、老婆心ながら一つだけ。
岸田先生はおそらく軽度発達障害だと私は見ている。
だからというわけでもないが、先生の理論は平均的な人間にはあんまり当てはまらないように思う。
ちなみに、アスペルガーの私にはどんぴしゃで当てはまりましたぞよ。
おもしろいがこわい
(2007-02-24)
「自己険悪の効用」を落ち込んでるときにはあまりよまないほうがいいかもしれない。さらに、逃げ道のない考え方に陥ると思います。著者の文章の運びがうまいせいか引き込まれやすいと思います。
たいして、「忙しい人と暇な人」を読むと著者の人生遍歴の爽快さにおもわず馬鹿笑いしてしまいました。そのひょうひょうとした語り口もなんともおもしく、落ち込んでいるときはまずこちらから読むことをお勧めします。
精神分析とだいしてありすが、けっして硬い内容ではありません。しかし、逆に日常に溶け込みすぎている感覚もあり、だいぶ身近に感じることの出来る分怖さも増しているような気がします。
何度も読み直した本
(2006-07-05)
この本の「私の原点」は私の経験(生い立ち)でもあった。
一つ違う点は私の場合、まだ母が生きているということだ。
同じような境遇で同じような体験をした人がこの世にいることに
驚きを感じると共に、同じ体験をしていながら
岸田秀さんのように自分の感情を整理できることなく
心に靄がかかったまま生きてきた。
言葉に救われることが本当にあるとは思わなかった。
岸田秀さんに誰よりも感謝している。

