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紀伊國屋書店
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カスタマーレビュー ![]()
「多くの細胞からなる体は・・・繁殖子を生産するための機械」
(2008-05-24)
神はいない!と最近断言された著者、そういう結論に導かれる道筋の一端が既にこの著者初期の著作の中に現れている、とも思いながら読ませて頂きました。
かなり専門的な内容もあり、生物学の教科書を時々確認しながら読みました。生物個体とは、遺伝子DNAが次世代に引き継がれ生き延びるための”機械”にすぎない、という「利己的な遺伝子」の考え方の上に、そのDNAから”延長された”表現型として、生物個体があり、様々な振る舞いがある、という主張が様々な例を引きながら述べられています。本書の一番最初に出てくる「ネッカーキューブ」の如く、生物に対して、遺伝子に対して、様々な見方があるものだ、と関心させられます。
中盤で、自然淘汰、という言葉に対して「適応度」という言葉がいかに様々な意味に捉えられるか、が述べられていますが、私にはこの言葉、1990年代に出た「複雑系」「複雑系と自己組織化」理論を連想し、生物個体、遺伝子など、この複雑系そのものだな、と考えたりいたしました。
そして最終的な結論「生物体を再発見する」で刺激的な主張が続きます。例えば著者独特の主張”発現している生物個体のためではなく、遺伝子自身のため、遺伝子の分子配列のため、に進化している”(308ページ)とか”多くの細胞からなる体は一個の細胞からなる繁殖子を生産するための機械である”(492ページ)という主張は本当に刺激的です。賛否両論あると思いますが、私にはとても重い問いかけに感じられました。生命観、ひいては”私とは何か”という哲学的問題を内在させているように想うのです。
ほとんど専門書レベル
(2008-04-27)
本書はドーキンスの著作の中でも群を抜いて難しい。他の著作と同じ感覚で読み始めると、その専門性の高さに面食らってしまいます。数学モデルこそ使われていませんが、内容は専門書レベルと言っていいと思います。著者自身まえがきで断っている通り、
「…おもに想定している読者は、…進化生物学者、動物行動学者や社会生物学者、生態学者、…哲学者や人文科学者であり、…これら全学問分野の大学院生や学生たちを含んでいる。…読者が進化生物学とその学術用語についての専門的知識をもっていることを前提にしている。(p5)」
私は大学教養レベルの生物学は一応こなしていたし、「利己的な遺伝子」も読んでいたけど、初めて本書を読んだときには何が書いてあるのかほとんど理解できず、途中で放棄してしまいました。後に進化生物学関連の書籍を読み漁り、再度チャレンジしてようやく読み通すことができました。
内容は最初の10章分(約360ページ)が言わば“前置き”で、「利己的な遺伝子」に寄せられた批判に対する反論のため、より詳細で高度な議論を展開している、といったところ。残りの4章分(約130ページ)が主題となる「延長された表現型」に関する議論で、要は遺伝子の表現型というものはその“個体”には限定されず、その外部へも拡張されうるということです。
「利己的な遺伝子」の第二版以降には、この「延長された表現型」のエッセンス部分が新たな章として追加収録されているので、そちらを読んでおけば一般読者としては十分でしょう。学者でもない者があえて本書に手を出す必要はないと思います。もちろん読めばとても勉強になるし、他の進化生物学関連の本を読むときに、辞書的に参照するという使い方もあると思います。しかし、とにかく難しいということだけ…。ちなみに訳は悪くありません。
気軽に読めるというものではないが…。
(2003-10-15)
あたしは文系人間だけれども、数式のない科学の本を読むのが、(特に生物学!)好き。ドーキンスの著作は当然(?)「利己的な遺伝子」ではまってしまった。本書も「利己的な遺伝子」に負けないぐらい知的スリリングに満ちていると思うなあ。「ブランド・ウォッチ・メイカー」のように理詰めで説得するという内容ではなく、好感が持てた。
ただし、生物学の世界をちゃんと心得ていないと読みにくいのではないか? 巻末に用語解説のようなものがあるので、通読するといっても常に用語解説を見ながら、読み進めていった。なのであまり気軽に読めるという代物ではないんじゃない? まあ別の見方をすれば、ベストセラー狙いじゃなく、ドーキンスの生物学に対する真摯な姿勢が読み取れる。

