アイテム詳細
この商品を買った人はこんな商品も買っています。
カスタマーレビュー ![]()
ユニークな視点
(2008-11-30)
神聖ローマ帝国の皇帝として君臨したハプスブルク家の黎明期から終焉までを、画家によって描かれた絵と関連付けて説明していくユニークな本。物語の主人公は皇帝に限定されず、分家のスペイン王家だったり、嫁いできた皇妃だったり、他国に嫁いだ娘だったりする。普段見慣れた絵でも、思わぬエピソードがあったりしてなかなか面白い。
個人的には、スペインのカルロス2世のグロテスクな絵がなかなか興味深かった。近親婚を繰り返した結果、スペイン王家では死産の比率が高まり、子供が育たなかった。カルロス2世の父は妹(マリア・アナ)の娘(姪)と結婚した。カルロス2世から見れば、マリア・アナは、叔母(父の妹)であり祖母(母の母)であった。マリア・アナの父(叔母の父かつ母の父=曾祖父)はスペイン王フェリペ3世(父の父=祖父)である。気持ち悪さを通り越えた怖さを感じた。
斬新な切り口で読みやすい
(2008-11-13)
絵画を通し、ハプスブルグ家の歴史を俯瞰するという切り口が斬新で良い。また、内容も簡潔でわかりやすい。読了後は、これまで描いていた王族のイメージが大きく変化し、ハプスブルグ家に生まれて幸福だった人が一人もいないことに愕然とするとともに、王族の悲哀を痛切に感じた。とにかく一気に読みとおしてください。
ハプスブルク家650年の歴史を短時間で学べる好著
(2008-11-02)
著名な絵画の中に溶かし込まれた西洋史の数奇な物語を巧みに浮かび上がらせた『怖い絵』正続編に大変感銘を受け、以来同じ著者の本を手にし続けています。最新作の本書も期待を裏切らぬ出来ばえで、中野京子という人が間違いのない書き手であるということをますます確信しました。
タイトルには「名画で読み解く」とありますが、実際のところ12の名画は読み解く対象として扱われているのではなく、数奇な物語に彩られたハプスブルク家650年の厚くて熱い歴史に分け入っていくための、敷居の低い扉として用意されています。世界史の授業では年号と人物名を丸暗記すべく四苦八苦した対象でしかなかったハプスブルク家の面々も、本書では人間くさく、時に滑稽で、そして多くは華やかではあるものの哀れな存在として読者の前に立ち現れてきます。他国との間で干戈を交えるよりは結婚と出産によって関係を深めることのほうが多かったハプスブルガーたちですから、夫婦や親子の関係に実に生々しくも身近な物語がたくさん散りばめられていることが改めてわかります。
マリア・テレジアの娘の中で一番の才女といわれフランス王妃になるはずだった十女マリア・カロリーネはナポリに嫁いだのですが、それは九女マリア・ヨーゼファが早世したため。そして順番が繰り上がり、十一女マリア・アントニアがフランス王妃になります。才媛である十女がフランス王妃になっていればフランス革命も起こらず、マリア・テレジアの十一女マリー・アントワネットが処刑されることもなかったかもしれない。このくだりは歴史のifとして興味深く読みました。
新書の限られたサイズでありながら掲載されている絵画の図版は大変美しく、特にフランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルターの「エリザベート皇后」は、その息を呑む美しさを余すところなく伝えてくれています。日本の高い印刷技術が遺憾なく発揮された書だといえるでしょう。
ドラマティックな人生と、描かれた名画
(2008-10-30)
650年の長きに渡り、王朝を保ったハプスブルク。
その王朝を連綿と受け継いでいった人々のドラマを
彼らの姿を描いた名画とともに示した本。
その王朝の長さと、「汝は結婚すべし」という家訓のためか
ここで語られるハプスブルクの人々の人生は、どれもドラマティック。
凡庸だと思われていたのに他者を圧倒する王となる人、
多くの美点に恵まれつつ、生涯飼い殺しで終わった英雄の息子、
美貌をきっかけに、思いがけない人生を歩むことになった皇妃、
夫を激しく愛し、狂気におちた女王。
端的ながら、個々の人生に興味を抱かせつつ
全体の流れもつかみやすい本でした。
ハプスブルク家というと、マリー・アントワネットなどの
美貌のイメージが強かったのですが
鷲鼻と受け口で、あまり美形ではないという特徴が
次々に示される肖像に現れていたのが意外でした。
(威厳や気品あふれた肖像を損なうものではありませんが)
各章の話の展開が鮮やかでスリリング、最高の世界史入門書
(2008-09-24)
「名画で読み解くハプスブルグ家の物語」は一編一編の凝縮された文章にはさまざまなドラマが秘められていて読むたびに新しい発見があり、想像力をかきたてられます。何しろお話の展開が鮮やかでスリリング。しかも「名画で読み解く」物語という切り口は具体性があって、歴史の流れが掴みやすい。肖像画は優れた画家の手にかかると素晴らしい表現力を持つものなのですね。世界史を理解する上でその役割の大きさを痛感。ハプスブルク家の興亡の歴史をとびっきりのエピソードを交えた物語で鳥瞰できる贅沢を存分に味わいました。
まずハプスブルク家最初の神聖ロー帝国皇帝ルドルフ一世の成立からして愉快。こういう選ばれ方って現代にもありそう。で、そこから650年にもわたるハプスブルク家の歴史が始まるわけですから歴史って面白い。登場人物たちの何と強烈で多彩なこと。傑出した英雄マクシミリアン一世やカール五世。かと思うとアルチンボルドという特異な画家にあの奇妙な肖像画を描かせたルドルフ二世。政治に無関心で、世界の珍品・名品の膨大なコレクションはじめ錬金術・占星術に夢中の皇帝を想像するだけでも興味津々。また、悲劇の王妃フアナ、マリーアントワネット、マリー・ルイーズ、エリザベートたち。女性たちの煌びやかな宮廷生活の翳の部分ですね。「カルロス二世」も強烈。同じ著者の『怖い絵』や『危険な世界史』でも別の視点から描かれていましたが、”高貴な青い血”存続のためのとはいえ、ハプスブルク家の終焉を予感するかのような迫力満点の肖像画にぞっとしてしまいます。他にも挙げだすとキリがないほど。
歴史上の偉大な人物も、このように生き生きと語られると身近な存在となってくるから不思議です。世界史をもっと知りたくなる愉しい入門書となりました。

