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牧神の午後 (MFコミックス) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)

山岸 凉子

メディアファクトリー

グループ:Book

ランキング:-

価格:¥ 620

発売日:2008-03-27

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カスタマーレビュー

バレエの華やかさをまとった人間ドラマ  (2008-08-30)
私はバレエを見に行ったこともないし、ニジンスキー・バランシンの名前は知っていたけど、程度の前知識です。
「牧神の午後」では、ニジンスキーを通して「天才」とはなにかを、やはり後世に名を残す振付家ミハイル・フォーキンを語り部としてつづっています。
若い頃の努力といったところはあまり描かれません。衝撃的なデビューを果たしてから神経衰弱を発病するまでがこの作品の時間です。
頂点に立つにはもちろん努力・運・もって生まれた体などいろいろな要素が必要でそれら全部を含めて「天才」といえるでしょう
しかし一点集中式な天才が日常生活に際してみせる奇矯さ、それを羽を持つものは腕がない、と表現した作者の鋭い視点。
ほとんどが私にとっては初めてのエピソードでした。表紙絵に作者のニジンスキーへの愛が読み取れます。
「黒鳥」では、天才肌の芸術家でバレエ命な男バランシンと3度目の妻となった女性マリア・トールチーフが主人公。もちろんプリマとして有名だった人でしょうが、ここでは、妻というより自らの芸術を具現化する夢として女性を愛する男との葛藤が描かれます。マリアとしてもプリマであり、その世界にいるからこそわかる、自分の資質と彼の志向の違い。
新しい女性が現れ、自分の立場が脅かされたときにたどる心の試練。
その時に無くなった祖父の言葉として「不幸は願いさえすれば、すぐやってくるもの」という言葉には胸をつかれます。願わくは、困難や試練があって誰かを恨みたいときでも、悪いほうに考えず、マリアのように苦手と決め付けられていた黒鳥に挑戦して見事に踊りきるような、プラスへの転換ができればという、バレエダンサーたちの人生を借りての作者のすばらしい表現でした。

天才の光と影を描いた名作を収録  (2008-03-24)
実在の人物をモデルにしたバレエ漫画「牧神の午後(モデルはニジンスキー)」、「黒鳥(同バランシンの3度めの妻・マリア・トールチーフ)」の2編、エッセイバレエ漫画2編、ローザンヌ国際バレエコンクール見学ツアーの記事(山岸凉子さんが同行、文は瀧晴巳さん)を収録。
「牧神」と「黒鳥」はモデルとなった2人の人間としての光と影の両面を掘り下げた名作。光には伴う影が克明に描かれるとともに、人種、文化、親子関係などいろいろと考えさせられる要素がエピソードとして織り込まれています。
ニジンスキーもトールチーフも繊細な人物として描かれていますが、個人的には、あの時代に牧神の午後や春の祭典を振付けたニジンスキーの大胆不敵さと恐らく持っていたであろう自負、バランシンに「偉大な女性」といわしめ、シカゴバレエ団の芸術監督となったトールチーフの強さについて、もっと描写があってもよかったかなと思います。
作者自身のバレエ発表会体験記、首藤康之さんのバレエ教室取材記であるエッセイ漫画、ローザンヌ取材記はバレエに興味がある人なら楽しめる内容です。
全体的にはバラエティーに富み、密度が濃い一冊かな。

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