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主人公に必要だったのは、姉さんではなくアニマル浜口
(2008-08-31)
温泉旅館の楽しみのひとつに、館内の探索がある。木造の古建築群を抱く旅館に数日間逗留して、懐古趣味に浸りながら館内を彷徨ってみたいものだ。このゲームは、全貌が不明という途方もない大きさの旅館に好きなだけ滞在することになった青年の物語である。
舞台設定は素敵だ。様々な投宿者に遭遇しながら、旅館の因縁が明らかになり、やがて驚愕の結末に至る、のかと思っていたが。。。。。
酔っ払った挙句に川に落ち、今は収容先のベッドで寝ている男が主人公である。物語は彼の夢を辿る。「渡し守編」も含め、総てはご当人に都合よく運び、状況に流されるがままに済崩し的に結末を迎える。他人に依存して生きていながら、相手構わず好きの惚れたのといった関係に持ち込んでしまえばその状況が正当化されると勘違いしている男が見ている身勝手な夢、というか妄想の物語に見える。悩む暇があったら、さっさと就職して(しなくてもよいが)自立すれば良いのに、と思う。そんなのを相手にするわけだから、ヒロインは浮かばれない。令嬢などはキャラ的に破綻寸前に追い込まれる。読む側も、文章が上下に短かすぎるので目が非常に疲れる。
ゲームというより、絵と音楽を伴った電子書籍である。ターゲットの年齢層を高めに設定しているようだが、内容的に平坦過ぎるのではないだろうか。山中に佇む来歴不明の巨大旅館に半ば偶然に建築史家が訪れ、そしてやがて若女将になる令嬢との間に「秋津温泉」のような物語を経て、最後にその旅館との因縁が明らかになる、といったような趣向の方が市場が多いように思えた。

